子供同士が集まると、ケンカはつきものです。特に、自己主張の強い幼児期はトラブルが多く、親は対応に困ってしまうものです。
介入するのもよくない気がするし、かといって全く関わらないのも不安ですよね。子供のケンカは一体どこまで介入していいの?と悩んでいるママもたくさんいることでしょう。
そこで今回は、子供が友達とケンカをした時の親の対応について考えたいと思います。
1 ケンカが教えてくれること
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子供のケンカは子供同士の問題ですから、親が深く関わるのは避けましょう。
子供は、ケンカによって多くのことを学びます。それなのに親が介入してしまうと、そのせっかくの機会を奪ってしまいかねません。
ケンカが子供にどんなことを教えてくれるのか、詳しくみていきましょう。
1-1 思いやりの気持ち
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友達とケンカをして仲違いをすると、子供はとても辛い想いをします。そして、あの時自分がわがままを言わなければ相手は不快にならなかったかもしれない、などと考えるようになります。
そんな経験の積み重ねから、相手の気持ちを推測する力やケンカを回避する術が身についていくのです。
1-2 自分の気持ちの伝え方
近頃、自分の気持ちをはっきり言えない子供が増えていると言われています。
ケンカは、お互いの考えを声にしてぶつけ合う貴重な機会です。負けたくないという気持ちから、どうやって自分の気持ちを言葉にしたら相手に伝わるのか、子供は必死に考えます。そうして、自己主張の方法を学んでいくのです。
1-3 自ら解決する力
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ケンカをした後、どうやったら元通りに戻れるかと悩むうちに、子供はトラブル解決力を習得します。
人とのぶつかり合いは、子供の頃だけの問題ではありません。大人になったら全て自分の力で乗り越えなければならないのです。
自ら解決する力は、社会で生きていくためには必要不可欠なスキルであり、幼いうちから育むことが大切です。
2 自ら解決する力を育む5つのステップ
ところで、トラブル解決力を上手く育むにはどうしたら良いのでしょうか?
ここで、初めて親の介入が求められてきます。ただし、あくまでもその場の状況からは距離を置いて関わってください。
それでは、子供のトラブル解決力を育てる方法を段階別にご紹介したいと思います。
2-1 子供の気持ちを受け止める
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まずは、子供の辛い気持ちをしっかりと受け止めましょう。
この時、決して否定はしないでください。ママ(パパ)はいつでも自分の味方だということを再認識することで、子供の気持ちは和らぎ、落ち着いて次のステップに進むことが出来ます。
2-2 トラブルの原因を明確にする
次に、状況をはっきりさせます。
例えば友達とおもちゃの取り合いになったのなら、何をして遊んでいたか、いつどんな風にトラブルに発展したのかを優しく問いかけてください。
そして、何が原因でケンカが起こったのかを浮き彫りにします。
ふてくされて何も喋ろうとしない場合でも、子供が自ら切り出すまで感情的にならずに待ちましょう。
2-3 どうすれば良かったのかを話し合う
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争いの原因が見えてきたら、その時の子供の気持ちを聞き出します。
その上で、どうすればケンカにならなかったのかを考えさせましょう。
どんな風に友達に声をかければ良かったか、どんな態度をとれば良かったか、出来るだけ具体的に話し合ってください。
子供が上手に答えられなくても大丈夫です。明確な答えを求めるのではなく、自分の行動に別の選択肢があったことを教えることが大切なのです。
2-4 相手の気持ちを想像させる
子供の気持ちがまとまったら、今度は相手の気持ちを想像させましょう。
一旦、子供の気持ちを整理した上で、このステップに進むのがポイントです。
「○○ちゃんは、あなたがおもちゃを貸してくれなかった時、どんな気持ちだったかな?あなたが○○ちゃんなら、どう感じるかな?」というように、分かりやすく子供をリードしてあげてください。
そして、どんな答えが返ってきても子供の考えを受け止めてあげましょう。
2-5 これからどうしたら良いのか、考えをまとめる
最後に、この先どうしたいのかを話し合いましょう。
会って謝りたいなど、直接トラブル解決に結びつく答えが出なくても良いのです。
おやつを食べたい、などの一見的外れな答えも優しく受け入れましょう。
大切なのは、前向きに気持ちを転換させることです。嫌な気持ちをプラス思考へと導くプロセスが、徐々にトラブル解決力を育んでいくのです。
3 やってはいけない親の関わり方
今度は、逆にやってはいけない関わり方をご紹介します。
身に覚えがないかチェックし、思い当たる節があるなら注意してください。
3-1 自分の子供ばかりを責める
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他人の子供は叱りにくいものですよね。最近は、相手の親の目を気にして自分の子供を一方的に責め立ててしまうママが多いようです。
また、ちゃんとした親だと見られたいという思いから、公の場では神経過敏になってしまいます。
責め立てられた子供は、どうして自分ばかり叱られるのだろうと悲しくなってしまいます。そうすると、親に対する不信感が芽生え、親子の距離が開いてしまうのです。
3-2 相手を悪く言う
子供の話を一方的に鵜呑みにし、相手の子供を責め立てるのもよくありません。
幼い子供は語彙力が乏しいため、誤解を与えてしまうことも多いのです。決めつけることはやめ、広い視野で状況を判断するようにしましょう。
また、やり返しを促したり特定の友達と遊ぶのを禁止したりするのも避けましょう。
親同士のトラブルにまで発展したら、親子ともども辛い想いをすることになります。
3-3 考えを押し付ける
「あなたがおもちゃを貸してあげなかったのが悪いんでしょ!」というように、子供の気持ちを無視して頭ごなしに考えを押し付けるのもやめてください。
気持ちが整理出来ていない状態では、子供はあなたの言葉を受け入れるはずがありません。あなたへの反抗心が増すだけです。
3-4 完全に放置する
子供のケンカには深く介入しない方がいいからといって、全く関わらないのも良くありません。子供の辛い気持ちは行き場を失い、孤独感が増すだけです。
また、子供は仲直りの仕方や立ち直り方を学べず、大きくなってからも人間関係にトラブルを抱えることが多くなるでしょう。
4 怪我のトラブルへの関わり方
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これまでは、子供同士のケンカは距離を置いて関わることが大切だということをお伝えしました。
けれども、怪我を伴うトラブルの場合はそうはいきません。
ここでは、加害者と被害者の双方の立場から対応法をご紹介したいと思います。
4-1 相手に怪我をさせてしまった時
子供がお友達に怪我をさせてしまった。そんな連絡を幼稚園から受けた時は、頭の中が真っ白になるものです。
ですが、決して子供を頭ごなしに叱りつけないでください。これまでのステップと同じく、まずは子供の気持ちをしっかりと受け止めた上で、他人を傷つけることがどうしていけないかをじっくり教えましょう。
その後、相手のところに一緒に謝りに行ったり電話をかけたりして誠意を示してください。相手の気持ちも和らぎますし、他人に怪我を負わせることの重大さを子供は身を持って学ぶことが出来ます。
4-2 子供が怪我を負わされた時
子供が被害者になった時も、相手を一方的に責めずに、どうして相手が怒ったのかを考えさせましょう。
ただし、自分の子供があまりにも頻繁に怪我を負って帰ってくるようなら、様子を見てください。
一方的ないじめにあっている場合は、考えさせるのは逆効果です。直ちに、幼稚園や保育園の先生に相談してください。
5 親同士の対応や園・学校との関わり方
基本的に子供のケンカに親が介入することは避けたいですが、時と場合によっては親がフォローすることも必要です。
そういう時の接し方などについて考えてみましょう。
5-1 相手の親との関わり方
5-1-1 最初から直接話に行くことは避ける
子供同士がトラブルを起こしたからといって、すぐに相手の親に会いにいって介入するのは好ましくありません。親同士の仲もこじれてしまうことが多いからです。
相手の親にしてみれば、自分の子供を非難されているように受け取ったり、子供のことに親が出てくるなんてと反感を買ってしまいます。
まずは子供の話を聞き、その後園や学校の先生などにも話を聞き、子供同士で解決できることなら親が口を出すのはやめましょう。
5-1-2 加害者になった場合は子供と一緒に謝罪に行く
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どちらが悪いかは置いておいて、相手に怪我をさせたのであれば、子供と一緒に謝りに行きましょう。
理由はどうであれ、人を傷つけることはいけないことだということを子供に教えるためでもあります。
5-1-3 日頃からコミュニケーションをとるようにする
送り迎えの時や行事の時など、親同士も日々あいさつなどを交わしてコミュニケーションをとるようにしましょう。
ママ友などの関係は面倒だからと言っていると、トラブルになったときに意思疎通がうまくいかなくなってしまいます。
ある程度会話ができる仲であれば、万が一、子供同士がトラブルを起こしても、「〇〇ちゃんとケンカしたみたいけど、これからも仲良くしてやってね」などと、フォローすることもできます。
5-2 園や学校との関わり方
5-2-1 気づいたことはその日のうちに確認する
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保育園や幼稚園なら、送り迎えの時にいつもと異変がないかをチェックし、報告を受けていない怪我などをしていた場合は、その場で保育士に聞くようにしましょう。
状況を把握していなかった担当外の保育士でも、親に質問されたらすぐに状況確認をとってくれるはずです。
あとからあの時怪我をしていたのですが、などと言ってもちゃんとした状況確認をとるのが難しくなり、あなたの中でもモヤモヤした気持ちがつのるだけです。問題は早期解決が必須です。
5-2-2 基本は園や学校に任せる姿勢を見せる
保育園や幼稚園、学校で起こったことは、基本的にはその場で解決してもらう姿勢を見せましょう。
その場の状況を見ていないのに、子供の話だけを鵜呑みにして口出しても解決には至りません。状況を知っている先生などに任せ、状況を報告してもらうようにしましょう。
ただし、子供が言っていることと先生の言っていることに食い違いが出れば、「子供はこう話していました」と状況を説明し、双方の意見をしっかり聞いて話し合いの時間をとってもらうなどの要望を伝えましょう。
6 まとめ
「かわいい子には旅をさせよ」ということわざのように、あえて手出しをせずに動向を見守ることにより、子供の社会性は育まれていきます。
大切なのは、日頃から子供の気持ちに寄り添い、信頼関係を築いておくことです。そして、いざという時にそっと背中を押してあげられるような親になりましょう。
ケンカは子供が成長するチャンスです。見ているだけの立場としては辛いかもしれませんが、これも長い人生を送る上での一つの試練と考え、温かく見守りましょう。