
乳幼児の肌はキメが細かく、モチモチとしていて常にうるおっているように見えますよね。しかし、生まれてから思春期までの子供の肌は、とても乾燥しやすい状態にあるのです。乾燥肌をそのままにしておくと、いろんなトラブルの原因になってしまいます。そうならないためにも、日頃の保湿がとても大切なのです。
◆ 最終更新日:2019年2月27日
Contents
1 子供の肌について知ろう
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赤ちゃんの頃の皮膚はとても薄く、大人の肌の半分程度の厚みしかありません。大人の健康な肌は、外的刺激から肌を守ってくれるバリア機能が働いていますが、皮膚が薄くてやわらかい赤ちゃんは、そのバリア機能もまだまだ未熟。そのため、刺激にも弱く、肌の水分量を保つ働きも弱いのです。
成長と共に肌も強くなっていくのですが、大人と同じような肌の状態になるのは思春期になる頃なので、それまでの子供の肌は、トラブルが起こりやすいデリケートな状態と言えるでしょう。
2 肌の保湿とアレルギーとの関係
2-1 アトピー性皮膚炎と肌の保湿
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ホコリやダニ、食べ物、生活環境、大気汚染、遺伝や体質、ストレスなど、さまざまな原因が絡まりあって発症されると言われているアトピー性皮膚炎。その原因のひとつに、乾燥肌も挙げられます。
肌の表皮の一番外側である角質層は、角質細胞と角質細胞間脂質でできています。この角質細胞間脂質こそが、肌の水分の約80%を保持しているのです。アトピー性皮膚炎になると、この細胞間脂質が少なくなって、肌が乾燥しやすい状態になってしまいます。肌が乾燥状態にあるということは、バリア機能が低下しており、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐ力が衰え、アレルゲンが侵入しやすくなってしまうのです。
以上のことから、肌の乾燥を防ぐこと、すなわち肌を保湿することがアトピー性皮膚炎の予防と改善には不可欠なのです。
2-2 食物アレルギーと肌の保湿
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食物アレルギーを発症する患者のほとんどが10歳以下、そのなかでも0歳児に多くみられます。これは消化機能が未熟であることが理由だと考えられてきましたが、最近の研究でアトピー性皮膚炎など肌にトラブルがある乳幼児に食物アレルギーを発症する子が多いことが分かってきました。口から食べたものは、異物として攻撃しないようアレルギーを抑える免疫細胞が働き、アレルギー反応原因物質を抑制するIgE4抗体が作られます。
一方で皮膚から侵入すると、最初に入ってきたものに対して免疫を獲得する“感作”が起こり、免疫反応でIgE抗体が作られ、アレルギー体質になってしまいます。健康な肌であれば、皮膚の表面にある角質層がアレルゲンなどの異物をブロックするバリア機能を果たしてくれ、感作も起こしにくくなります。しかし、アトピーや湿疹などで角質層が壊れてしまい、肌のバリア機能が果たされないと、アレルゲンが侵入してしまい、アレルギー症状が出てきてしまうのです。
食物アレルギーの予防としても、肌を保湿してしっかり膜を作り、アレルゲンが侵入できないようバリア機能を高めることが大切なのです。
3 子供の保湿が必要な期間
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生まれて3ヶ月頃までは、お母さんからのホルモンの影響で皮脂の分泌は盛んに行われますが、その後はだんだんと減り、10歳頃までは皮脂の分泌量が最も少ない時期となります。つまり肌は乾燥状態になりやすいということです。赤ちゃんや小さな子供の肌は見た目以上に乾燥しているので、少なくとも10歳頃まではしっかりと保湿をしてあげることが望ましいでしょう。
お風呂上がりはもちろんですが、食べた後に拭いた口の周り、おむつ替えで拭いた後のお尻などもその都度、保湿してあげてください。小さな子供は口の周りなどに食べ物をつけることがあり、湿疹の原因にもなります。食後だけでなく、食べる前にも保湿剤を塗って肌をバリアしてあげると効果的です。
また、保湿は続けることが大切です。トラブルがない状態でも、健康な肌をずっとキープするために、日々の保湿は怠らないようにしてあげましょう。
4 保湿剤を選ぶときのポイント
子供の肌につけるものなので、やはり化学成分や添加物が使われていないものを選びたいですね。特に小さな子供は指などをなめたりするので、体内に入っても安全な成分であることもポイントです。無着色、無香料、界面活性剤不使用、防腐剤不使用、ノンアルコール、パラベンフリー、これらは基本的に押さえたいポイントですね。天然由来成分、オーガニックといった保湿剤も安心ですが、使われている植物エキスなどによっては、アレルギーを起こす子供もいるので、しっかりと成分を見てあげるよう注意しましょう。
季節や保湿する部分、赤ちゃんや子供の肌の状態に合わせてその子に合った保湿剤を選ぶことが大切です。
5 子供の肌におすすめの保湿剤14選
5-1 病院で処方してもらえる保湿剤
実際に私の子供にも使っている、病院から処方された保湿剤の中でいいなと思ったものをご紹介します。
5-1-1 プロペト
石油から得た炭素水素類の混合物を精製した保湿剤で、ワセリンのなかでも純度が高く、赤ちゃんから使えます。眼科でも使用されているほど肌に優しく、デリケートな目のまわりにも使えて、何度塗り直しても大丈夫なのも嬉しいですね。
こちらは 肌には浸透せず、表面の皮脂を膜で覆って水分の蒸発を防ぐものであって、それ自体に水分を与える効果はありません。子供が小さい時は食事の前に口の周りに塗ってあげると、食べ物が肌へ付着してもプロペトがはじいてくれるので、肌荒れ防止にもなります。
5-1-2 ヒルドイド
皮脂にうるおいを与えて保湿してくれます。血行促進作用があるヘパリン類似物質製品で、アトピーや乾燥肌にはもちろん、しもやけややけど治療にも使われています。クリームタイプもありますが、ローションタイプだと伸びがよく、肌にもなじみやすいので小さな子供にも使いやすいと思います。
顔から全身まで、朝晩の保湿の基本として使っています。おむつかぶれや汗疹にも、ヒルドイドをこまめに塗ってあげると赤みがひいてきますよ。
5-1-3 ビーソフテン
ヒルドイドと同じく、ヘパリン類似物質製品の保湿剤です。ローションタイプでさらっとしているのが特徴です。
子供は頭皮も乾燥したり汗疹になったりしますが、このローションタイプのビーソフテンなら頭皮にも塗りやすく、髪が多い赤ちゃんや子供でも、髪がベタつかず保湿できるのが嬉しいですね。
5-1-4 ステロイド外用薬
上記の3つの保湿剤は、毎日の基本の保湿剤として利用していますが、乾燥や汗疹などが酷く赤い湿疹などができた時は、処方してもらったステロイド外用薬を併用します。
ステロイドは怖いというイメージがありましたが、小児皮膚科医の話からも、肌トラブルはステロイド外用薬を使って早めに治してあげることが先決であり、ステロイドを使わずに炎症を長引かせる方が、肌荒れが慢性化する可能性もあり、肌荒れした部分に食べ物などがついてアレルギー体質になってしまう恐れがあるとのことから、納得して使っています。大量のステロイドを長期間投与するというなら話は別ですが、作用の弱いレベルのステロイドを肌に短期間塗るぐらいでは、副作用の影響は心配いらないそうです。
実際に、肌荒れが酷いときにプロペトやヒルドイドだけではなかなか治らなかったものが、ステロイド外用薬を処方してもらい、症状に合わせてステロイドの量を減らしてもらい続けた結果、真っ赤だった肌がきれいなすべすべ肌になりました。
間違ったステロイド外用薬のうわさに惑わされず、肌荒れが酷い時は皮膚科で診療してもらい、その子にあった薬を処方してもらうのが、健康な肌への一番の近道だと思います。
5-2 市販の保湿剤おすすめ10選
肌トラブルがない赤ちゃんや子供に、日常の保湿で使ってあげたいおすすめの保湿剤をピックアップしてみました。
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