
ママにとって我が子への愛情はこの上ないものです。
ただ、その愛情が良くない方向に出てしまい、過剰なまでに干渉してしまう怪獣“モンスターペアレント”になってしまう方も多くいるのも事実です。
みなさんは大丈夫・・・ですよね?
今回は、みなさんがモンスターペアレントの仲間入りをしないよう、その心得やモンスターペアレントが子供に与えてしまう影響についてお話しします。
1 モンスターペアレントとは
モンスターペアレントというインパクトのある言葉ばかり目立ちますが、その意味を具体的に知っている人は、実はあまり多くありません。
一言で言えば「学校やお稽古の先生などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をする親」を意味しています。
出典:PIXTA
1-1 モンスターペアレントの実状と背景
ニュース番組やTVドラマ、ネットでもたびたび取り上げられ、社会問題にまで発展していますよね。
最近でこそ“モンスターペアレント”という呼称がつき、注目されるようになりましたが、まだその呼称がない1990年代の後半から、一方的な要求を学校に対して突きつける親の存在は問題視されていました。
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1-2 本当にあったモンスターペアレントからの要求実例集
噂だけではなく、実際のモンスターペアレントからの自己中心的な要求にはどのようなものがあるのでしょうか。あまりの勝手な要求に耳を疑うものばかりですが、これらは実際にあったモンスターペアレントからの要求の一部です。具体的にどんな要求があるのか事例を見てみましょう。
- 帰宅してからもうるさいので、歌やお遊戯を教えないで欲しい。
- プールの授業のせいで息子が風邪をひいたじゃないか!どうしてくれるのか。
- 学芸会での配役は何を基準に選んでいるのか、選定基準を開示しろ!
- もしうちの子が日焼けによるシミやソバカス、皮膚がんになっても賠償できないのなら窓側の席にさせないで欲しい。
- 子供がいじめにあっているようだ。先生が監視できないのであれば監視カメラを設置するべきだ。
- 綺麗に掃除をして客である子供を受け入れるのが道理なはずなのに当番といって子供に押し付け、掃除をさせるのはおかしい!止めさせて欲しい。
- 持ち物に名前を書くことを強要するが、子供が使用しなくなった時にインターネットオークションなどで販売する時に価値が下がるので強要しないか、下がる価値相当を幼稚園側で補償して欲しい。
- 背の順で並ぶのは、背によっての優劣をつけているのと一緒。身体の小さな子供側の気持ちの配慮に欠ける行為。
- 娘が音痴なのを知っているのだから、みんなの前で1人で歌わせないで欲しい。恥をかくのもかわいそうだし、それが原因で虐められたら幼稚園の責任だ。
- (運動会の練習を見た保護者より)号令によって整列や行進させたり、園歌を歌わせたりと軍隊教育を助長している行為だ。
- うちの娘は褒められて伸びるタイプなのだから、娘の長所や行動をみて1日1回は先生から褒めてやって欲しい。
- 娘は顔も身体も大きいのは先生だって分かっているはず。配慮して集合写真は後列に並ばせて欲しい。
- 宿題は持って帰るのではなく先生が責任をもって宿題までみて、放課後に終わらせたのを確認してから帰らせるべき!
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1-3 なぜ増えているのか
なぜ近年、このような親が増えてしまったのでしょうか?原因は一概には言えないのですが、少子化によって一世帯あたりの子供の数が減ったことによって、愛情のかけどころが1人に集中していることも一因であると考えられています。
さらに、幼稚園やお稽古先がサービス業であり、自分たちは客であるという消費者意識を持つ人が増えてしまったことで、客である自分たちの言いなりにして、要求を満たすのが当たり前という考え方をする人が増えしまったことにあるようです。
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2 モンスターペアレントになる親の傾向
「それは酷い」とモンスターペアレントを客観視できているようでいても、子供に対する愛情のかけ方をちょっとだけ間違えるだけで、あなたもモンスターペアレント化してしまう可能性を秘めているのです。
まずは以下を参考に、あなたと子供との関係性や普段の行動パターンを照らし合わせてみましょう。
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2-1 子供への依存が強い
子供を愛することは何も悪くありませんが、依存となるとまったくの別の話です。子供に過剰に依存すると、相手が誰であっても子供を傷つける人を絶対に許すことができません。その上、もし我が子が起こしてしまったトラブルであっても正面から受け止められず、正当化させてしまったり、周囲にいた誰かのせいにしてしまうという傾向があるのです。
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2-2 ママ友と交流がない
ママ友との交流がないと、同じ目線からの周囲の意見、見解を把握できないでしょうし、入手できる情報もわずかしかありません。
子供が帰ってきてから話す内容が情報の全てになってしまうので、子供の話がたとえ偏っていてもその正確性を判断する情報すらない上に、他のママ友に相談したり、情報提供もないので、すぐに苦情を言うようになります。
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2-3 責任転嫁が得意
トラブルを起こしてしまったとき、全ての責任を幼稚園などに押し付けて、自分には責任がないと逃げてしまっていませんか?子供がトラブルを起こす原因は、必ずしも預け先のせいだけではありません。幼児だと家庭での親子関係が原因となって、その反動が幼稚園で出てしまっている可能性も十分考えられます。
何でも他人の責任だと非難し、家庭の問題や親子関係を顧みない親は、モンスターペアレントだと言われても仕方がありません。人を責める前に一度冷静になり、自分のとっている行動や子育てしている環境を見つめなおしてみましょう。
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2-4 自分を過信している
自分が常識人だと過信している人も、モンスターペアレント化する可能性が高いようです。幼稚園などで指導法や職員と子供の関わり方に納得できないとき、相手の意見に耳を遮り、真っ向から否定していませんか?自分の常識を信じて疑わないので対話が成立しないと、周りとの折り合いをつけることができず、扱いにくい親と認識されてしまいます。
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3 モンスターペアレントにならないための5つの心得
要求が常識の範囲内にあり、しかるべき理由をきちんと明示しているのであれば、モンスターペアレントとは違いますし、悪いことではないはずです。
それなのにTVやメディアの影響により言葉だけが独り歩きしてしまい、正当な要求までも先生や講師が親をモンスターペアレントというレッテルを貼って敵視することもあるようです。
そうした誤ったレッテルを貼られないよう、5つのポイントに気をつけて、お友達や預け先と接するようにしましょう。
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3-1 相手の意見にも耳を傾ける
トラブルが起きた時、こちらの主張だけでなく相手の意見もしっかり聞いていますか?どんなにこちらの主張が正しいと感じたとしても、相手側からしたら同じはずです。
一方的に要求するばかりで相手の話に耳を傾けない状況は、話し合いですらないですし、それはモンスターペアレントかもしれません。まずは相手の考えを理解し、折り合いをつけられるように努力する気持ちが大切です。
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3-2 必ず冷静になってから伝えよう
時間、場所を考えないで、なりふり構わず、相手や先生に連絡したりしていませんか?憤りや不安を少しでも早く解消したいという気持ちはわかりますが、相手を思いやる気持ちを忘れず、深夜の電話、アポなしで突然押しかけるようなことがないようにしましょう。
また感情的になって、精細さを欠いたまま話してしまうことは理不尽な言動をとってしまうなど百害あって一利なしです。クールダウンする時間も必要です。
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3-3 第三者の意見に耳を傾けよう
親というものは、愛する子どもの意見ばかりを聞いてしまいがちですが、子供の意見や証言だけを鵜呑みにするのはとても危険なことです。
相談した第三者の意見が自分にとり、不利な内容であっても、冷静な第三者が下した貴重な意見なので聞いて、心に留めましょう。また、普段から気軽に相談できるママ友、交友関係を築いておくことで、同じ目線で物事を考えてくれる良き相談相手になってくれますよ。
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3-4 過保護にならないようにする
親ですから当然、我が子のことを第一に考えますし、それは本能ですから悪いことではありません。ただし、親にとっては特別な存在である我が子も世の中に出てしまえば、皆と同等であることも肝に銘じなければいけません。
子供同士のケンカなどのトラブルを含め、社会で揉まれて成長していくのですから、親があまり社会の荒波を排除してしまうと我が子の成長やさまざまな経験、チャンスを自ら奪ってしまうことにもなり兼ねません。過保護になり過ぎないよう、見守ってあげましょう。
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3-5 責任転嫁しない
子供がトラブルを起こしてしまった時、幼稚園の先生や周囲のお友達を責める前に、自身の親子や家庭環境、自分の子供に非がなかったか、冷静に顧みることができますか?
「うちの子がこんな行動を起こしたのは、きっと誰かがうちの子に余程のことをしたんだ!」そんな責任転嫁は、周囲にモンスターペアレント扱いされるだけでなく、子供の教育上良くありません。
幼少期の問題行動の多くは、トラブルが起こった環境よりもむしろ、家庭環境が原因であることが多いものです。先生や幼稚園、お友達のせいにする前に自分や家庭にトラブルに繋がるような非がないか十分に検証しましょう。
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4 モンスターペアレントになるデメリット
子供に対する誤った方向での干渉や冷静さを欠いた行動は、モンスターペアレント扱いされるというママだけの問題でなく、子供の成長にも影響が及んでしまうのです。
4-1 ママ友がいなくなる
公平性や冷静さを欠き、我が子のことばかりしか考えていない親と分かれば、いつ自分や我が子が非を被らされるか分かりませんから、ママ友も一定の距離をとるようになるでしょう。
幼少期は特に親同士の交友関係が大きく影響するので、それが引き金となり、ママだけでなく子供までも幼稚園などで孤立してしまうことが考えられます。
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4-2 周囲から厄介者扱いされてしまう
ママ友だけでなく、幼稚園の先生やお稽古先からも敵対視されてしまいます。長い時間、先生方と過ごすのは、ママでなく子供です。ママの言動により厄介者扱いされることで、子供が楽しく過ごせる環境を奪うことになりかねません。
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4-3 子供が自立しない
過保護でトラブルは親が処理してくれるものという常識の中で育つので、自分で問題を解決する能力が育たず、何歳になってもトラブル処理を親に依存してきます。さらに、親からの保護を要求しようと事実と異なる証言をしたり、自分の意思を表に出せない大人に育ってしまったりという懸念があります。
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4-4 子供の成長チャンスを奪う
お友達も先生もあなたのお子さんをモンスターペアレントの子供として見るので、トラブルを起こしたらややこしいと思い、孤立してしまいます。
すると通常であれば、ケンカや仲直りを繰り返したり、さまざまな経験を通じて成長する時期にそうしたチャンスに恵まれないので、小学生になっても仲直りができなかったり、自分に非がある時でも謝れない、自分の意見が言えないなど、精神面が成長せず、幼児のままになってしまいます。
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5 まとめ
我が子を思う気持ちが、一定のラインを超えてしまうと逆効果になってしまうことをご理解いただけましたか?
メディアの影響もあって、少し意見を言うだけでもモンスターペアレント扱いされないか不安になってしまいますよね。でも今回、ここで挙げたことを意識して注意した言動をとり、普段からママ友や先生とコミュニケーションを積極的に取って真摯な対応をしていれば大丈夫なはずです。
子供の将来のためにも干渉しすぎず、親として冷静な対応を心掛けましょう。