
シャンプーや化粧品類、赤ちゃんに使うおしりふきやウェットティッシュなどさまざまな商品で見かけるパラベンフリーという言葉。なんとなく体に良さそうなイメージですが、どういうものか知っていますか?今回はパラベンとは何かについてお話し、パラベンフリーのメリットやデメリットについてご紹介します。ぜひ商品を選ぶ際の参考にしてみてください。
Contents
1 パラベンとは
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パラベンとは石油を精製して作られる防腐剤の1種です。さまざまな微生物に対して抗菌性があり、毒性が低く、少量でも効果を発揮するため、化粧品などをはじめ多くの商品に使われています。化粧品における配合量は1%未満と決まっているため、少量しか配合されていません。また、パッケージの成分表示ではパラベンではなく、○○パラベンと記載されています。○○の部分はその種類によって異なりますので、代表的なものをご紹介します。
1-1 メチルパラベン(英語ではMethylparaben)
パラオキシ安息香酸メチル。ここでご紹介する4種類のパラベンの中で最も防腐力が弱いです。また、一番水に溶けやすく肌への刺激が最も少ない成分です。そのため、化粧品の防腐剤としてよく使われています。
1-2 エチルパラベン(英語ではEthylparaben)
パラオキシ安息香酸エチル。広範囲の微生物に対する殺菌力のある種類です。無色または白色の結晶性粉末状の成分で、油溶性です。メチルパラベンとセットで配合されている場合が多くあります。
1-3 プロピルパラベン(英語ではPropylparaben)
パラオキシ安息香酸プロピル。パラヒドロキシ安息香酸とプロパノールから作られる石油由来のエステルです。パラベンの中では刺激性が高いので注意が必要です。
1-4 ブチルパラベン(英語ではButylparaben)
パラオキシ安息香酸ブチル。今回ご紹介する中で最も抗菌力が高い種類です。無色または白色の結晶性粉末状で、水にはほとんど溶けない油溶性の防腐剤です。
2 パラベンフリーが注目される背景
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パラベンフリーの商品が増え、注目されているのはなぜなのでしょうか。
それは使う人の体質によってごくまれにアレルギーなどの肌トラブルを起こす可能性がある成分として1980年に旧厚生省が定めた、旧表示指定成分に含まれていることが関係しています。近年では改良も進み安全性が高くなったパラベンですが、危険性がある成分というイメージは今も根強く残っています。そして、このイメージを使って各メーカーがパラベンフリーという言葉で商品の安全性をアピールしたことで世間に浸透していったのです。
3 パラベンフリーのメリット
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パラベンフリーの商品を選ぶメリットは安心して使うことができることです。
安全性が高くなったとは言え、パラベンは敏感肌の方やアレルギーのある方にとっては刺激を感じるもので、1,000人中2~3人の方はパラベンを理由とした皮膚障害を起こす可能性があります。このような方にとってはより肌に優しく安心して使えるパラベンフリーの商品が良いと言えます。
4 パラベンフリーのデメリット
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パラベンが配合されていないことで劣化しやすいというデメリットがあります。
パラベンは防腐剤であり、商品の無菌性を保持するために配合されています。そのパラベンが配合されていないと、劣化しやすくなるので長期保管ができません。誤った保管をしていたり、使用期限が過ぎたりしているものは雑菌が繁殖し、肌に悪影響を与えてしまいます。保管や使用方法はパッケージに記載された内容を守るようにしましょう。パラベンに刺激を感じない方で、保管や使用方法を簡単にしたいという場合はあえてパラベン入りの商品の方が合っているかもしれません。
5 パラベンフリーの商品を選ぶ時の注意点
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パラベンフリーという言葉はとてもインパクトが大きいです。この記載があるだけで「なんだか良さそう」「無添加の商品だ」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、ここで注意しなければならないのは、パラベンフリーと謳っている商品が全て完全無添加を意味しているわけではないということです。商品を選ぶ時には以下の点に注意しましょう。
5-1 パラベン以外の防腐剤
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防腐剤はパラベンだけではありません。パラベンフリーと謳っていてもそれ以外の防腐剤が使用されている場合があります。パラベン以外でよく使用される防腐剤には以下のものがありますので、覚えておきましょう。
5-1-1 フェノキシエタノール(英語ではPhenoxyethanol)
名前にエタノールと入っていますが、一般的に言われるアルコールとは別物です。パラベンに比べて殺菌力が弱いため、配合量が多くなることが多いです。
5-1-2 安息香酸Na
安息香酸ナトリウム(英語ではSodium benzoate)は、安息香酸にナトリウムを結合させたものです。水に溶けやすく、シャンプーや化粧水などによく配合されています。
5-2 防腐効果のある成分
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さらに、防腐剤ではなく、「防腐効果のある成分」が使用されている場合もあります。
5-2-1 BG(英語では1,3-Butanediol)
石油由来のアセトアルデヒドを合成して作られる多価アルコール類で、無色無臭でやや粘性のある液体です。刺激が少なく、安全性が高い成分です。しかし、防腐効果はありますが、防腐剤として国に登録されていません。そのため、防腐剤フリーと謳っている場合によく用いられています。また、保湿剤としても用いられることもあります。
5-2-2 天然香料
防腐剤フリー、オーガニックを謳っている場合に用いられるものに天然香料もあります。ローズマリー油、グレープフルーツ油、ユーカリエキスなどには防腐効果があるのです。これらは天然成分ですので、添加物ではありません。
6 保管方法
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防腐剤が配合されていない商品は雑菌が繁殖しやすく、取り扱いには注意が必要です。どのように保管したらよいのかをご紹介します。
6-1 使用期限の確認
まず、使用期限についてです。化粧品類は薬事法によって未開封の状態で3年間は品質を維持しなければならないという決まりがあります。そして、品質が保てないものについては、使用期限の明記が義務付けられています。防腐剤の入っていない商品には使用期限が記載されていますのでチェックしましょう。
6-2 直射日光を避ける
直射日光が当たると成分が分離する原因となります。開封前も開封後も直射日光の当たらない場所で保管しましょう。
6-3 高温多湿を避ける
化粧品類などは洗面所や脱衣所に置いている方が多いと思います。しかし、パラベンなどの防腐剤が入っていないものは非常にデリケートなので、雑菌やカビが繁殖しやすい高温多湿な場所はおすすめできません。風通しのよいところで保管しましょう。
6-4 小分けや少量の物を選ぶ
使用期限が短いため、大容量のものを選んでしまうと期限内に使い切るのが難しくなります。少量のものを使い切ることを心がけましょう。また、1回分が小分けになっているタイプだと、開封後の保管方法を気にしなくてよいですね。
7 使用方法
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保管だけでなく、使用時にも雑菌の繁殖を抑える工夫をしましょう。
7-1 手で触らない
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手で触ることで、雑菌の繁殖を広めてしまうことがあります。手で触る際は、清潔な状態にし、容器の中身には直接触れないように注意しましょう。クリームなどを使う際には、スパチュラを利用するとよいですね。
7-1-1 マスクスティック ルマスクスパチュラスプーン
販売価格:¥819(税込)
内容量 :20個
※2019年10月 Amazon調べ
7-2 しっかり密閉する
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容器のフタが開いているとそこから空気が入って酸化してしまいますので、きっちり締めましょう。また、口の部分が汚れているとフタがしっかり締まらないだけでなく、雑菌の繁殖の元となります。使った後は汚れがないかを確認し、汚れがあればきれいに取り除いておきましょう。
8 化粧品以外に含まれるパラベン
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ここまでは主に化粧品に含まれるパラベンについてお話してきましたが、パラベンは医療品や食品、清涼飲料水、調味料などさまざまな商品で幅広く使用されています。これらにも使われていることはあまり意識していなかったのではないでしょうか。パラベンフリーを意識する際には肌に使うものだけでなく、口から摂取するものにも気を配ってみましょう。
9 まとめ
パラベンは商品の菌汚染を防ぐ働きをしていて防腐剤として幅広く使われています。その一方で、人によっては刺激を感じ避けた方がよい成分であるとも言えます。そんな中で、よく目にするようになったパラベンフリーという言葉。これの言葉だけを見てよいものだと判断するのではなく、何が入っているのかをしっかり確認して、自分に合っているのかを見極めるようにしましょう。