よく寝たはずなのに疲れがとれない、首すじや肩のこりが治らない、朝起きたときから顔がむくんでいる・・・など、あなたの身体の不調は、毎日使っている枕が原因かもしれません。
自分に合っていない枕がなぜダメなのか、正しい枕を選ぶにはどうしたらよいのかをまとめてみました。
1 枕が合っていないと起こりうる症状
そもそも枕は、寝ている時も良い姿勢を保つためのものです。
合わない枕を使い、良い姿勢が保てていないと、身体の様々な不調につながっていきます。
1-1 首や肩こりなどの身体の痛み
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合わない枕で不自然な姿勢になっていると、頸椎の形状が不自然になり、首や肩の筋肉が緊張して凝り固まってしまいます。
首や肩回りが凝ると血行不良になり、頭痛や眼精疲労にもつがながっていきます。
さらに、頸椎につながっている胸椎や腰椎にも負担がかかり、腰痛や背中の痛みも感じるようになってしまいます。
1-2 いびき
いびきは、なんらかの原因で狭くなった気道を空気が通るとき、周辺の粘膜などを振動させて音が出てしまうことで起こります。
高すぎる枕で寝ると頸椎が前に傾き、気道が圧迫されて狭くなってしまいます。
また、低すぎる枕で寝ても舌が気道に沈みやすくなり、こちらも気道が狭くなってしまいます。
どちらも気道を狭くする原因となり、いびきを誘発してしまうのです。
1-3 顔のむくみ
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枕が低すぎたり枕を使わないで寝ていると頭が胴体より沈み込み、血液が顔に流れ込んでしまいます。
その血液が身体全体に巡りにくくなることで、朝起きたばかりなのに顔がむくむ原因になってしまうのです。
1-4 不眠
枕が合わないと不自然な体勢に苦痛を感じ、夜中に何度も目を覚ましてしまいます。
つまり、熟睡できていないのです。
一方、人は寝ている間に20~30回もの寝返りをしているといわれています。
これは血液の流れを最適にして体温調節をするためなのですが、枕が合わないとこの寝返りがうまくできず、良い眠りを妨げてしまうのです。
1-5 シワの原因
枕が高すぎると顎の位置が下に下がります。すると、2重顎になったり、首にシワができてしまいます。
寝返りもうまくできないので寝ている間中、ずっとこの体制をキープしていることになり、次第に2重顎の線や首のシワがついてしまうのです。
2 押さえておきたい枕選びの4つのポイント
2-1 高さ
最も大切な枕選びのポイントが“高さ”です。
立っている時の姿勢を寝ているときもキープできるような高さを選ぶことが重要なのですが、一般的な平均として男性は4cm、女性は3cmといわれています。
寝た時に枕と首の間に手が入らず、適度に密着しているのがベストな高さといえます。
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また、枕の高さ選びは寝ている敷布団の硬さも影響してきます。
やわらかい敷布団を使っている方は、頭より胴体の方が沈み込むので通常より低めの枕を選ぶといいでしょう。
普通か硬めの敷布団を使っている方は、頭と胴体の沈み込みの差が少ないので、自分に合った通常の高さの枕で大丈夫でしょう。
2-2 硬さ
前述したように、人は一晩で多くの寝返りをうつことでより良い眠りを得ることができます。
ですから、この大切な寝返りがうまくできる硬さの枕を選ぶことも大切なポイントのひとつです。
枕がやわらかすぎると頭が埋もれ過ぎますし、硬すぎると後頭部が安定せず首や肩の筋肉に負担がかかってしいます。
適度な柔軟性がある硬さの枕を選んで、寝返りをうまくサポートしてもらいましょう。
2-3 大きさ
頭がきちんと収まるのは原則ですが、大きさに関しても、寝返りをしたときに頭が落ちないものを選ぶのが基本です。
奥行に関しても、肩口を枕につけた状態で頭がしっかりと乗る幅を選ぶようにしましょう。
2-4 素材
いまや各メーカーからさまざまな枕の素材が出ていますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
高さや硬さ、大きさが合っていたら、あとは快適に眠れるように自分の好みの素材を選びましょう。
代表的な素材をいくつか紹介しますので、参考にしてみてください。
【フェザー】
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水鳥の羽根を使用した天然素材で、ふんわりやわらかく高級感のある寝心地になります。
通気性が良く、吸湿・保温・発散性にも優れています。
デメリットとしては、羽根独特のにおいがあったり、羽根についている骨部分が枕から出てしまうことがあります。
また、水洗いができないので、家庭での洗濯は不可となります。
【ポリエステル綿】
人口繊維でわたのようなふんわりとした感覚でボリュームがあります。
軽量で比較的低価格で手に入りますが、使用していくうちに弾力性やボリューム感は落ちてきます。
また、ホコリなどがたまりやすい上に、水洗いできるものとできないものがあるので表示の確認が必須です。
【パイプ】
通気性が抜群で、ホコリや虫がつく心配がなく耐久性に優れています。
水洗いができ、ヘタりづらい素材です。
デメリットとしては、少しごつごつしていて、寝返りなどをするとザワザワといった音がします。
【そば殻】
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古くから使われている天然素材です。
通気性や吸湿性に優れていまずが、湿気の多いところに長時間保管すると虫がわく可能性があります。
そばの実を使用しているので、使っていくうちにそばがらがつぶれて粉が出てくることもあるので、そばアレルギーの方は使用を避けた方が良いです。
【低反発ウレタ】
ゆっくりと沈み込み、その人の頭の形に合わせてフィットしてくれます。
ものによっては寒くなると硬くなるものがあり、また、夏場は熱がこもりやすく蒸れやすいのがデメリットになります。
3 人気の枕4選
3-1 オーダーメイドピロー/東京西川
出典:http://andfree.jp/product/pillow.html
計測器を使って、後頭部や首の高さなど全14カ所を細かくチェックして作るオーダーメイド枕。
素材もやわらかめから硬めまで全6種類から選ぶことができます。
14カ所に仕切られたポイントごとで高さを調節し、仰向けでも寝返りをした横向きでも最適な高さになるよう調節してくれ、自分にぴったりの枕を作ることができます。
3-2 airweave(エアウィーヴ)
出典:http://airweave.jp/products/airweave_pillow_std.php
適度な反発力があり、三次元状に絡み合ったエアファイバーが複数枚のシートとして中に入っていて、好みの高さに調節できるようになっています。
とにかく通気性が抜群で蒸れにくく、枕が丸ごと洗えるのもポイントです。
3-3 トゥルースリーパー リッチフィット ピロー
出典:http://www.truesleeper.jp/lineup/pillow/richfit/
特殊な超高密度の低反発ウレタン素材で、もっちりとマシュマロのような寝心地が味わえます。
穴をあけた加工で通気性もよく、付属のシートを使えば4段階で高さ調節も可能です。
3-4 まくらぼ
出典:http://www.makulab.jp/estate/pillow/636/
8つに分割されたポケットで、それぞれに合った高さに調節してくれます。
さまざまなパイプを中心とした中材は10種類から選べ、家庭で洗うこともできます。
さらに、永久無料メンテナンスがついているのも特徴のひとつです。
4 日常における枕のお手入れ方法
4-1 枕の手入れが必要な理由
シーツを洗ったり布団を干したりするのに、枕のメンテナンスは忘れていませんか。
寝ている間ずっと接している枕には、布団と同じように汗や皮脂などが染み込んでいるのです!
そのままにしているとダニや雑菌が繁殖したり、においなどの原因にもなるうえ、頭皮ニキビや抜け毛のトラブルも引き起こしてしまうかもしれません。
枕もシーツや布団同様に、日々の手入れをしてあげることが大切なのです。
4-2 家庭での枕の洗い方
4-2-1 素材を確認する
まずは、枕が家庭で洗えるかどうか、表示を確かめましょう。
パイプ素材、ポリエステル綿、ビーズは比較的家庭で洗えるものが多いですが、中には洗えないものもあるので注意しましょう。
洗濯機で洗っても大丈夫か、水洗いを推奨しているものか、手洗いが好ましいかなども確認しておきましょう。
4-2-2 洗濯機や手洗いで洗う
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枕カバーをはずしたら、洗濯ネットに入れて洗いましょう。
洗濯機の場合なら、ドライコースや手洗いコースを選択して優しい水流で洗います。
手洗いの場合は、洗面台や浴槽など、まくらが完全に入るところに水を張り、中性洗剤を溶かします。
枕全体をゆっくり沈め、押しながらもみ洗いをしていきます。
枕から洗剤の泡が出なくなるまで、しっかり水ですすいでください。
4-2-3 乾かす
洗い終わって脱水後は、全体を叩いて中身を均等にし、天日干しか陰干しか、枕の表示に従ってどちらか適切な方法で干します。
枕干し用のハンガーなども販売されているので、活用すると便利です。
また、枕は乾くのに時間がかかることも頭に入れておいてください。特に手洗いの場合は3日ほどかかる場合もあります。
しっかり乾燥させないとカビや雑菌の繁殖、においの原因にもつながるので、しっかりと乾かすようにしましょう。
4-3 日常的な枕の手入れ方法
布団と同じように、定期的に天日干しや陰干しをするようにしましょう。
天日干しに向いている素材 → ポリエステル綿/パイプ/そば殻
陰干しに向いている素材 → フェザー/ビーズ/低反発ウレタン
4-4 家庭で洗えない枕の手入れ方法
湿気をとるために干すという手入れは欠かさず行いましょう。
そのほかに、クリーニングに出せる素材であれば、定期的に依頼することもおすすめします。
5 子供の枕の選び方
出典:PIXTA
赤ちゃんや小さな子供は枕が必要ないということを聞いたことがある人も多いと思いますが、実際に子供はいつごろからどんな枕を使うといいのでしょうか。
5-1 子供には枕は必要か?
前述したように、枕が必要な理由は、起きている時に首から背骨がS字にカーブしているのを崩さずに良い姿勢で寝るためです。
しかし、生まれたての赤ちゃんは、まだこのS字ラインが形成されていない上にママのお腹にいた時の形のように背中を丸めている方が安心します。
よって乳児期にはまだ枕は必要ないと言えるでしょう。
子供のS字ラインは、首が座ってくる頃から徐々に出来てきて、小学校入学の頃には完全に出来上がってきます。*個人差もあるのですべての子が当てはまるわけではありません。
まだ完全にS字ラインになっていない時期は、無理に枕を使う必要はありません。
子供の成長を観察し、必要だと思う体型になってきたら枕の使用を考えてあげましょう。
5-2 子供用の枕選びのポイント
自分の子供の頭や肩幅に合ったサイズを選びましょう。
特に子供は大人よりも汗をかきます。ですから、通気性が良く、常に清潔に保てるタイプの方が望ましいでしょう。
また、子供が喜んで枕を使ってくれるように、好きなキャラクターの枕カバーを用意してあげるなどの工夫をしてみるのも良いでしょう。
5-3 子供用の枕おすすめ3選
5-3-1 ジムナストキッズ/まくらのキタムラ
出典:http://www.kabu-kitamura.com/kids/
子供の寝返りがスムーズに行えるよう、真ん中から両サイドにかけてゆるやかなカーブをつけた形状の枕です。
ポリエステル素材がベースなので通気性も良く、速乾性もあり、家庭で丸ごと洗うことができます。
枕の高さが変えられる専用パッド付きで、成長に合わせた枕にすることが出来ます。
5-3-2 コピロ/東京西川
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医師がすすめる健康枕から登場したジュニア用の枕です。
身長を目安に3カ所で高さ調節ができ、成長に合わせて子供の規則正しい睡眠をサポートしてくれます。
肩と首にフィットするようなアーチ型で横向き寝も寝返りもスムーズ。家庭の洗濯機での丸洗いもできます。
5-3-3 ジェルトロン ベビーピロー ビスケットタイプ
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アメリカの宇宙船内用衝撃緩衝材の研究開発から生まれたジェルを改良して作られた素材(ジェルトロン)を使用した、ベビーからキッズ(5歳くらいまで)用の枕です。
大人用よりやわらかなジェルトロンを使用していて、首から頭部を優しく支えてくれます。
通気性が良く、丸洗いもでき、ホコリが出ない素材なのも嬉しいですね。
6 まとめ
1日の約1/3を寝て過ごしている私たちにとって、枕はとても大切な相棒です。
ですから、質の良い睡眠を得るために、枕も自分に合ったものを選ぶようにしたいものです。
布団にばかり気を取られていた方も多いと思いますが、これからは枕選びや手入れにも気を遣い、快適な眠りと健康を維持していきましょう。