
体が錆びるといわれる酸化はよく耳にしますが、「糖化」という言葉は知っていますか?近年注目されているこの糖化も酸化と同じく、アンチエイジングに効果的なもののひとつです。
今回はこの糖化がどういうものなのか、そしてどのように対策をしていけばよいかをお教えします。糖化は日々の生活で防ぐことができます。抗糖化で健やかな肌と体を手に入れましょう。
Contents
1 糖化とは
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糖化は近年、老化を促進するとして注目されている現象です。
食事から摂取した砂糖と炭水化物は、消化酵素の力でブドウ糖になります。ブドウ糖は血中に入ると、すい臓から分泌されるインスリンによって体内の細胞に送られます。それが体を動かすエネルギー源になっています。エネルギーとして消費されなかったブドウ糖は肝臓や脂肪細胞に貯蔵されますが、それでも余ったものはたんぱく質や脂肪と結びついて、終末糖化産物という老化物質を作り出します。終末糖化産物は、Advanced Glycation End Productsと表され、略してAGEs(エイジス)とも呼ばれます。
これが糖化と呼ばれる現象です。また、食事や清涼飲料水から摂る果糖は腸でそのまま吸収されて血液を通って細胞内に入っていきます。果糖はブドウ糖のようにインスリンが関わることはありませんが、ブドウ糖の10倍以上の速さでたんぱく質や脂肪を糖化させ、老化物質を作ってしまいます。糖化が起こると細胞の老化が進み、肌の衰えや体調不良、さらにはさまざまな病気の温床になります。
1-1 糖化で体が焦げる
酸化によって体が錆びると言われますが、糖化は体が焦げる現象です。ホットケーキを作るところを想像してみましょう。フライパンの上でこんがりと美味しそうな褐色に変色していきますよね。これはホットケーキに含まれる砂糖や炭水化物が牛乳や卵などのたんぱく質と結びついて変性する糖化の一例です。
同様のことが体内でも起こっており、褐色した美味しそうな焼き色は病気や老化の原因となるAGEsになるのです。
2 糖化はどのようにして進行していく?
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では、糖化はどのようにして体内で進行していくのでしょうか?
2-1 高血糖状態が続く
高血糖とは血液中にある糖の濃度が必要以上に高い状態のことです。細胞の中に入った糖は体を動かすエネルギーになるため、悪さをしません。注意すべきは細胞の外、つまり血液中に残った糖です。血液中に糖が余り続けると血糖値も高い状態が続きます。その結果、糖化が進みやすくなります。
2-2 血糖値の急上昇
急激に血糖値が上昇すると、すごい速さで細胞にブトウ糖が押し込まれます。その際に細胞膜を傷つけてしまい、細胞の中にブドウ糖を留めておくことができず、血液中に糖が残りやすくなります。結果、糖化が進行しやすい状況を作ってしまうのです。
2-3 外部からのAGEs摂取
AGEsは体内で生成されるだけでなく、外部から摂取することでも蓄積されていきます。ホットケーキの例で挙げたように、食べ物を調理する工程でも糖化は発生しているのです。
3 糖化が体に与える影響
糖化は老化を促進する現象ですが、具体的にどのような影響があるのでしょうか。糖化が体に与える影響についてみていきましょう。
3-1 肌が老化する
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糖化は肌の老化を進めてしまいます。
3-1-1 くすみやシミ
AGEsが溜まると肌の黄ばみが強くなり、血色が悪く、くすんで見えるようになります。また、AGEsが溜まると紫外線から肌を守ってくれるメラニンがうまく働かなくなり、シミになります。さらに、AGEsが色素細胞を刺激してメラニンの産生量を増やすこともシミの原因になってしまいます。
3-1-2 たるみ
肌のハリと弾力を支えるコラーゲン繊維やエラスチン繊維が糖化すると、肌の弾力が低下し、硬くもろくなります。そして、そのもろくなった繊維がちぎれることで肌がたるんでしまいます。
3-1-3 しわ
角質細胞のケラチン繊維は、溜まったAGEsにより固められ、劣化します。すると、肌表面の弾力性が低下して、しわができてしまいます。
3-1-4 乾燥
肌のうるおいを保つためにある角質細胞のたんぱく質が糖化すると、保湿をするために必要な酵素の分泌が行われなくなります。すると、肌の水分が失われて、乾燥してしまうのです。
3-2 病気のリスク
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糖化が体に与える影響は肌の老化だけではありません。糖化が血管や内臓に与える影響はもっと深刻で、さまざまな病気の原因となるのです。
3-2-1 動脈硬化
血管の組織が糖化によってもろくなると血管壁に炎症が起こりやすくなります。その結果、動脈硬化のリスクが高まり、心筋梗塞や脳梗塞などの恐れも出てきます。
3-2-2 腎機能低下
腎臓は体内を巡って、老廃物を含んだ血液をたんぱく質でできた膜でろ過して尿を作ります。これが糖化によって本来の働きを失うと、腎機能が低下して尿たんぱくの症状が出てしまいます。
3-2-3 目の病気
水晶体内で糖化が起こってAGEsが蓄積すると、水晶体の混濁を誘発します。すると、白内障などの原因となります。
3-2-4 骨粗しょう症
骨はカルシウムとコラーゲンによってしなやかな強度を保っていますが、骨のコラーゲンが糖化するともろい状態になり、骨粗しょう症を引き起こします。
3-2-5 アルツハイマー
アルツハイマーの原因は、脳内の組織にアミロイドβというたんぱく質が蓄積して、脳の神経細胞が死滅するためと考えられています。アルツハイマーを患っている方の前頭葉を調べたところ、健常な老人に比べて3倍以上もAGEsが蓄積していることが分かり、糖化との関連も指摘されているのです。
4 糖化の進行具合を測る方法
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体にさまざまな影響を与える原因となる糖化ですが、体内でどのくらい糖化が進んでいるのかは外見からはわからないですよね。ここではその測定方法をご紹介します。
4-1 体内糖化度検査
病院によっては糖化の進行具合を測る専門の検査を行っているところもあります。体内糖化度検査は、指や腕を専用の検査機器に乗せることで体内にAGEsがどのくらい蓄積しているかを測ります。血液の採取が不要なので、短時間で検査することができます。
4-2 ヘモグロビンA1c
糖化の検査が近くの病院でできない場合に糖化の進行具合の目安となるのが、ヘモグロビンA1cの値です。これは健康診断や採血の結果でも表示される値で、HbA1cと表記されている場合もあります。血球の中にあるヘモグロビンが何%糖化されているかを示した数値で、これが高いとAGEsが多く蓄積されていると考えることができます。
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