
最近は「ノンシリコンシャンプー」を謳った商品が各メーカーから発売されています。なんとなく、シリコンって良くないもの、害を与えるものと思っている人も少なくないでしょう。しかし、シリコンはそんなに悪いものではなく、むしろメリットがたくさんある成分なのです。
シリコンとはどういうものか、そのメリットとデメリットを知った上で、自分に合うシャンプー選びをしてみてください。
◆ 最終更新日:2018年4月4日
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1 シリコンとは
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地球を構成する主要な元素のひとつでもあるケイ素に、化学反応を加えて作られた有機化合物をシリコンと言い、正式にはシリコーンと言います。(一般的にシリコンの方が馴染みがあるので、記事中はシリコンと表記させていただきます。)
シリコンの特徴として、柔軟性が高い、熱や光に強く変質しにくい、水や他のものと反応しにくい、気温や湿気を通しやすい、物の表面に薄く広がりやすい、などがあります。人体に影響がない安全な素材なので、日用品や食品をはじめ、化粧品や医薬品などにも活用されています。
シリコンにはいろいろな形状があり、シャンプーやトリートメントに使われているのはオイル状のもので、成分表記ではジメチコンやシクロメチコン、ジメチコノールなどがそれに該当します。
2 シリコンが有害なイメージになった理由
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では、なぜシリコン=悪のようなイメージが広まったのでしょうか。
シリコンは人口的な物質であることから、オーガニックなどが注目された自然派ブームにおいては、人体にも環境にも良くないものとされてしまったのが原因のひとつかもしれません。さらに、シリコンは洗っても落ちにくいとされ、頭皮に残ったり毛穴に詰まってしまい、かゆみや抜け毛、薄毛などの原因になると言われていたことも理由に挙げられます。
そして、なにより1番の原因は、メーカーがノンシリコンシャンプーを売り出すために、広告でノンシリコンをアピールし、シリコン=悪というイメージを世間的に植えつけたことにあるでしょう。
3 シリコンは害のあるものではない
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そもそもシリコンは医薬品や化粧品にも使われるほど安全なもので、化学的にも安定した成分で変質することなく、万一体内に入っても人体に影響を与える心配はありません。さらに大量につけすぎない限りは頭皮に残ったり毛穴に詰まったりすることもありません。そのため、パーマやヘアカラーの染まり具合に影響することもほとんどありません。
シャンプーに関して言えば、シリコンはオイル(油)ですから、主な成分が水であるシャンプーにはシリコンをたくさん配合することはできないのです。水と油は相性が悪いですからね。確かにシリコンは洗っても落ちにくい成分ではありますが、シャンプーに配合されている程度のシリコンは問題ない範囲と考えられるでしょう。
4 シリコンシャンプーのメリット
実際にシリコン入りのシャンプーにはどのようなメリットがあるのか見てみましょう。
4-1 ダメージがある髪も指通りが良くなる
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パーマやヘアカラーなどでダメージを受けたキューティクルを、シリコンがコーティングし、補修してくれます。
コーティングすることで髪にツヤを出してくれるのでキシキシとした感じがなく、シャンプーをしている時からその指通りの良さを感じることができます。
4-2 髪の摩擦を抑えてくれる
髪の表面をなめらかに整えてくれるので、ブラッシング時の髪の摩擦を抑えてくれる働きもあります。
4-3 ドライヤーの熱から髪を守ってくれる
髪をコーティングすることで、ドライヤーなどの熱から髪を守るという役割もあります。髪は熱に弱く、ドライヤーの熱もあてすぎると髪が乾燥してパサついてしまいます。しかし、シリコンのコーティングが髪をガードし、ダメージを防いでくれるのです。
4-4 しっとりまとまる髪に仕上げてくれる
オイルでのコーティング力があるシリコンは、パサついた髪やボリュームがある髪をしっとりと落ち着かせてくれる役割もあります。
以上のように、シリコンはキューティクルを補修したり、髪の仕上がりを良くするためには欠かせないものです。髪にダメージがある人はなおさらシリコン入りのシャンプーを使わないと、よりダメージを促進させる可能性もあります。
5 シリコンシャンプーのデメリット
さまざまなメリットがあるシリコンですが、髪質や髪の状態によっては、シリコンシャンプーが不向きな場合もあります。それはどんな場合か見てみましょう。
5-1 髪が細い人は髪のボリュームが抑えられる
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コーティング力があり、髪のボリュームを抑えてくれるシリコンですが、髪が細くてボリュームを出したい人には向いていないかもしれません。
軟毛やボリュームのない人は、ノンシリコンのシャンプーを使った方がボリュームを出してくれるでしょう。
5-2 保湿性が高く、皮脂が多い人はべっとりする
シリコンオイルは保湿性の高い油分なので、もともと皮脂の多さが気になっていた人は、余計に油分が多くなってしまう可能性があります。
仕上がりが少しべっとりすることもあるかもしれませんので気をつけましょう。
5-3 シリコンの過剰配合
強い洗浄成分を使用したシャンプーはきしんだ髪の仕上がりを整えるために、大量のシリコン成分が配合されていることがあります。特に高級アルコール系の洗浄成分のシャンプーがそれに当たります。
シリコンは適量だと髪や頭皮に蓄積することはありませんが、大量に使われているとしっかりとすすぎきれずに残ってしまう可能性もあります。これはシリコンのマイナスイメージそのものです。強い洗浄成分をカバーするために過剰に配合されることがデメリットに繋がっているのです。
シリコンが害というより、洗浄力の強さによる頭皮へのダメージの方を気をつけた方が良いかもしれませんね。
>>シャンプーの洗浄成分について詳しくはこちらを参照ください
6 シリコンシャンプーに害があるという誤解
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シリコン入りシャンプーのデメリットは他にもある。そう思われた方も多いのではないでしょうか。確かに、真っ先に挙がるデメリットが他にあります。しかし、それらは誤解なのです。1つ1つ検証してみましょう。
6-1 毛穴が詰まるのは本当か?
シリコン入りシャンプーはキューティクルをコーティングするため、髪だけでなく毛穴にも付着、蓄積し、詰まらせて頭皮環境を悪化させるという話を聞いたことがあるかと思います。
しかし、実際にはシリコンが毛穴に詰まることはありません。シリコンは網目状の構造をしており分子も大きいため、毛穴に入り込むことができないのです。毛穴が詰まっているように感じるのはシリコン自体が原因ではなく、すすぎが十分でないためにシャンプーの成分が頭皮に残ったままになってしまうことなのです。
6-2 パーマ、カラーが効かないのは本当か?
こちらもシリコンのコーティングがもたらすデメリットとして挙げられています。髪をコーティングしてしまうことで、パーマやカラーなどの薬剤が髪の内部に浸透することができず、効果が出にくくなるというものです。
先ほどもありました通り、シリコンは網目状の構造をしており、薬剤が入る余地のないほどコーティングしてしまうものではありません。ここでも問題なのはすすぎ残しによる蓄積だと言えます。
7 シリコンシャンプーを正しく使うための注意点
7-1 シリコン入りとノンシリコンを使い分ける
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無害であるシリコンにも、前述したように髪質によってメリットとデメリットがあります。
今の自分の髪の状態や、どんな髪質になりたいかを考え、シリコンシャンプーとノンシリコンシャンプーを使い分けるのが、賢い選択と言えるでしょう。
◆シリコンシャンプーが向いている人
・パーマやヘアカラーで髪にダメージがある
・切れ毛や枝毛が気になる
・髪のボリュームを落ち着かせたい
・頭皮や髪が乾燥している
◆ノンシリコンシャンプーが向いている人
・ふんわりとボリュームを出したい
・頭皮や髪の油分が多い
・髪にダメージが少なく健康である
7-2 正しいシャンプー方法を行う
体に害のないシリコンですが、やはり髪に残さない方が良いでしょう。特にすすぎはしっかり行い、シリコンのメリットを生かしてあげるようにしましょう。
7-3 シリコン入りのコンディショナー・トリートメントは頭皮につけない
コンディショナーやトリートメントは髪を保護する役割がありますので、シャンプーよりもシリコンが多く配合されている傾向があります。
そのため、頭皮には塗布せず、髪だけにつけるように注意しましょう。洗い流さないタイプのアウトバストリートメントは塗布したままになりますので特に注意しましょう。
8 まとめ
シリコン=悪というイメージは払拭されたでしょうか?
何にでも向き不向きがあります。安全性が保障されているシリコン、あとはあなたの髪に合うか合わないかで選ぶようにしてみてください。