
以前に比べて肌荒れが治りにくくなってきた、と感じることはありませんか?歳を重ねるとともにそんな場面が増えてくると、肌が規則正しくターンオーバー(代謝)されていないのではないかと心配になりますよね。
この記事では、ターンオーバー(代謝)の仕組みや乱れる6つの原因とともに、ターンオーバーの周期を正常化させるための4つ方法についてご紹介していきます。今すぐチェックして今日から原因を改善し、美肌を手に入れましょう!
◆ 最終更新日:2019年8月22日
1 肌のターンオーバーの仕組み
人の皮膚は、大きく分けると外側から、表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。ターンオーバーは、この中の表皮という部分で行われるものです。では、そのなかで肌の代謝は、どのように行われているのでしょうか?
1-1 表皮の新陳代謝
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ターンオーバーは、表皮の中でも一番体の内側にある基底層という部分から始まるものです。基底層で生まれた角化細胞は、時間をかけて顆粒層という部分まで押し上げられ、ここでセラミドなどの保湿成分を生成します。そして最終的には一番表面にある角質層に到達します。そこまでたどり着いた角化細胞は、いわば死んだ細胞の集まりですが、肌を守るバリア機能という重要な役目を担っています。それらは役割を終えると、垢やフケなどの老廃物として体から剥がれ落ちていきます。
私たちの皮膚では、この一連の流れが絶えず行われており、この表皮内の新陳代謝のことをターンオーバーと呼んでいるのです。
2 ターンオーバーは早い方が良い?
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健やかな肌を手に入れるためには、ターンオーバーは無視できない重要な要素です。あなたも代謝を促すため、ピーリングなどの角質ケアを意識しているのではないでしょうか?しかし、実は肌の生まれ変わるスピードは、早ければ良いというわけではありません。
2-1 早すぎる代謝は肌荒れのもと
スキンケア用品に溢れる昨今、ターンオーバーが早すぎることが原因で、肌トラブルを招いているケースも増えていると言われています。
肌の生まれ変わるスピードが早すぎると、角化細胞が蓄えられる栄養分が少なくなり、皮膚を守る力が未熟になってしまいます。さらに、早すぎる代謝についていけないために、セラミドなどの保湿成分が十分生成されないという事態が起きます。その結果、バリア機能が低下し、さまざまな症状を引き起こしてしまうのです。
2-2 肌の代謝は遅くてもNG
だからといって、代謝は遅すぎても良くありません。肌の生まれ変わるスピードが遅いということは、古い角質がいつまでも残っているということ。日焼けや傷、ニキビもなかなか治らなくなり、シミもできやすくなってしまいます。この遅すぎる代謝は、加齢などで細胞が老化したり、生活習慣の乱れなどにより細胞の働きが弱まったりすることで起こると言われています。
3 正常なターンオーバーの周期とは
正常なターンオーバーは28日周期と言いますが、これは健康的な肌質をもった20歳前後の人に当てはまる日数です。実際は「年齢×1.5」で出た数値が、あなたの年齢に合った正常な周期。それより早すぎても遅すぎても、代謝が乱れていることになります。
3-1 周期が早いか遅いか判断する方法
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正常な周期でターンオーバーができているのかどうかは、どのような肌トラブルに悩まされているかで判断することができます。自分は代謝が早すぎるのか、反対に遅すぎるのか、しっかり把握しておきましょう。
3-1-1 周期が早い人
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周期の早い人は、角質層が未熟な状態のため、乾燥肌なことが多いです。それに加え、ターンオーバーの周期が早いために角質層が薄く、少しの刺激にも敏感な状態になっています。具体的な症状は以下の通りです。
【周期が早い人の特徴】
・赤ら顔
・過敏肌
・アレルギー体質
・アトピー体質
・かゆみがある
・脂漏性湿疹ができやすい
・乾燥肌かつ脂性肌
3-1-2 周期が遅い人
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周期が遅い人は、古い角化細胞が剥がれ落ちずに溜まっているため、肌が硬くゴワゴワした状態になります。また、表皮を古い角質で覆ってしまうことで、毛穴をふさいでしまい、皮脂や汚れが表皮内に溜まりやすくなります。具体的な症状は以下の通りです。
【周期が遅い人の特徴】
・日焼け跡が治りづらい
・芯のあるニキビができやすい
・粉瘤(垢や皮脂が表皮内に溜まってできた良性の腫瘍)ができやすい
・濃いシミがある
・肌にざらつきがある
3-2 代謝は遅くなるもの
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どんなに健康的な肌質を持っていても、30代になるとターンオーバーには40日前後かかります。数値だけ切り取って見てしまうと28日周期を保ちたいと焦ってしまいますよね。しかし、年齢とともに代謝の速度が緩やかになっていくことは、ごく当たり前のことなので、恐れることはありません。肌トラブルを回避するためにすべきことは、ターンオーバーのテンポアップをさせることではなく、正常化することなので誤らずしっかり理解しましょう。
4 ターンオーバーを乱す6つの原因
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歳を重ねるごとに増えていく肌トラブルに対処していくためには、自分の年齢に合った、正常な代謝の周期を取り戻すことが大切です。そのためにも、ターンオーバーが乱れてしまった理由について学んでいきましょう。
4-1 誤ったスキンケア方法
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良かれと思って続けてきた日々のスキンケアが、ターンオーバーを乱す原因になっていることがあります。特に、以下のような過度なケアは、代謝の周期をテンポアップさせてしまう恐れがあります。
4-1-1 過剰な洗顔
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顔を洗うときにしっかり汚れを落としたいあまり、ゴシゴシと力を入れていませんか?また、1日に何度も洗顔している場合も要注意です。過度な洗いすぎは角質を無理やり剥がし、ターンオーバーを早めてしまう恐れがあります。
4-1-2 洗浄力が強い洗顔料の常用
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洗浄力が強い洗顔料やクレンジング剤には、合成界面活性剤などの角質除去につながる成分が多く含まれているため、常用するとターンオーバー周期をテンポアップさせてしまいます。また、美白成分などが配合されている洗顔料も同様に、肌に必要な皮脂や角質を無理やり奪ってしまうため、毎日使うことはおすすめできません。
4-1-3 過度な角質ケア
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自分の肌荒れはターンオーバーが遅いせいだと思っていると、ピーリングなどの角質ケアにも力が入りますよね。しかし、本来角化細胞は、役目を終えて自然に剥がれ落ちるもの。無理やり剥してしまうと、その下の未熟な皮膚が露わになってしまい、かえって肌トラブルを招いてしまう可能性があります。
4-2 UV対策を怠る
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紫外線にはA波とB波の2種類があり、曇りの日に地上に降り注ぐA波は、表皮のさらに下にある真皮にダメージを与えます。真皮が傷つくと、コラーゲンやヒアルロン酸など、肌の保湿に欠かせない成分の生成が遅くなり、細胞の老化が早くなります。その結果、ターンオーバーの周期が遅れることに繋がってしまうのです。
また、晴れの日に降り注ぐB波は、表皮の角化細胞にダメージを与え、それを修復するために代謝のスピードを早くしてしまいます。
4-3 ホルモンバランスの乱れ
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代謝はストレスや生理によるホルモンバランスの乱れにも影響されます。ホルモンバランスが崩れると、ターンオーバーを正常化してくれる卵胞ホルモンが減少し、肌の生まれ変わりがスムーズに行われなくなります。
4-4 生活の乱れ
下記のような生活習慣の乱れも、ターンオーバーと密接に関係しています。
4-4-1 食生活の乱れ
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私たちの体は、食べた物から成り立っています。栄養バランスの悪い食生活を送り続けると、汗腺や皮脂の機能が低下し、角質の保湿効果が弱まってしまいます。そうするとターンオーバーが乱れ、乾燥やニキビ、ひどいときには毛穴の開きやたるみなどができてしまうのです。
4-4-2 睡眠不足
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人間の体は、深い眠りについたときに訪れる副交感神経優位のときでなければ、細胞分裂を促進させる成長ホルモンを分泌しません。また、皮膚の修復機能やターンオーバーが活発になるのも眠っている間だけです。しっかりと良質な睡眠を取らなければ、ターンオーバーが乱れるだけでなく、肌荒れの原因にもなってしまうのです。
4-5 冷え性や便秘
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多くの女性が悩む冷え症や便秘は、体の隅々まで血液が供給できないことで起こります。体が冷え、便秘が続くと、老廃物の排出にエネルギーを使ってしまい、新しい健康な皮膚を作る余力がなくなってしまいます。その結果、肌の代謝機能が低下し、肌荒れにつながります。
4-6 喫煙
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喫煙をすると血管が硬く、縮み、血流が悪くなります。そうすると栄養や酸素を皮膚まで送ることができず、代謝するエネルギーもなくなってしまいます。
5 周期を正常化させる4つの方法
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それでは、代謝の周期が乱れてしまったとき、どのようにして正常化すれば良いのでしょうか?ここからは、ライフスタイルの見直しによって、ターンオーバーを整える方法についてご紹介します。
5-1 スキンケアの見直し
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スキンケアの基本となる洗顔は、1日2回までが適切な回数だと言われています。朝はぬるま湯だけで顔の余計な油分や汚れを落とし、夜は優しい洗顔料で洗顔しましょう。また、メイクを落とす際は、濃いメイクにはオイルやリキッド、普段使いには刺激が少ないクリームやジェルなど、メイクの濃さによってクレンジング剤を使い分けるのもおすすめです。
5-2 UVケア
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紫外線は季節や天候などに関係なく、年中降り注いでいます。日焼け止めをこまめに塗り直したり日傘などを用いたりして、肌を紫外線から守りましょう。
5-3 生活習慣の改善
ターンオーバーを正常化させるためには、以下のような生活習慣も見直す必要があります。
5-3-1 睡眠
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早寝早起きを心がけ、ホルモンバランスを整えましょう。なかなか寝つけないときは、安眠効果が期待できるラベンダーなどのお気に入りのアロマオイルを部屋に拡散してみましょう。
また、スマホなどから発せられるブルーライトという光が原因になっている可能性もあります。夜22時以降はスマホやパソコンを見ないようにするのも、寝つけないことを改善するのに効果的です。
5-3-2 肌に良い栄養を摂る
正常な代謝を行うには、肌に良い栄養素を摂ることも欠かせません。以下の食材を、日頃の食事でバランスよく摂取しましょう。
5-3-2-1 ビタミンA
ターンオーバーの周期を整え、免疫力を上げる効果が期待できます。
ビタミンAの摂取におすすめの食材例:レバー、うなぎ、緑黄色野菜、トマト
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5-3-2-2 ビタミンB群
細胞の再生を補助し、皮膚病の予防・改善効果もあります。また、PMS(月経前症候群)の症状も軽減してくれます。
ビタミンB群の摂取におすすめの食材例:納豆、卵黄、モロヘイヤ、海苔、にんにく、マグロ、ごま、唐辛子、ささみ
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5-3-2-3 ビタミンC
コラーゲンの分泌を高める作用や抗酸化作用があるため、細胞の老化を防ぎます。
ビタミンCの摂取におすすめの食材例:レモン、ケール、キウイ、いちご、ブロッコリー、小松菜、パプリカ
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5-3-2-4 ビタミンE
血行促進効果や抗酸化作用、女性ホルモンの分泌作用などがあり、アンチエイジングには欠かせない栄養素です。摂取することで、肌のバリア機能を高める効果も期待できます。
ビタミンEの摂取におすすめの食材例:ナッツ類、いくら、モロヘイヤ、かぼちゃ
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5-3-2-5 鉄
鉄分も人間には欠かせないミネラルの1種。ターンオーバーの正常化や、コラーゲンの合成を手助けします。
鉄分の摂取におすすめの食材例:レバー、ハツ、青のり、ごま、松の実、牛肉、マグロやカツオ、貝類
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5-3-2-6 亜鉛
ミネラルの1種である亜鉛は、タンパク質の合成や細胞分裂を促してくれる栄養素。皮膚の炎症や傷を修復し、ターンオーバーを正常化してくれます。
亜鉛の摂取におすすめの食材例:牡蠣、カニ、卵黄、牛肉、レバー
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5-3-2-7 セラミド
肌の保湿成分として欠かせないセラミドも、食材から摂ることもできます。
セラミドの摂取におすすめの食材例:こんにゃく、黒ゴマ、しらたき、黒豆、あずき、海藻、ごぼう、ソバ
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5-4 体を温める
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体を温める暮らしを意識すると、便秘や冷え症を改善でき、ターンオーバーの乱れも整えることができます。生姜や根菜を積極的に摂取したり、冷え取り靴下などのアイテムを取り入れたりしてみましょう。お風呂上がりのストレッチで、筋力をつけるのもおすすめです。
6 まとめ
ターンオーバーが乱れていると感じたときには、まず自分の代謝が早いのか遅いのかを見極め、正常化できるように生活の見直しをすることが大切です。今回ご紹介した方法を取り入れ、自分の年齢に合ったターンオーバーの周期に正し、美肌を手に入れられるよう、日頃から意識、実行してみましょう!