
何をするにも嫌と否定から始まるイヤイヤ期。食事やお出かけの準備など、毎日の行動に時間が倍以上かかってしまうなんてことも。そんな時ママはついイライラしてしまいますよね。
子供の気持ちに寄り添うためにも、まずはイヤイヤ期が子供の成長に与える影響やどうして子供が何をするにも嫌と言うのか理由を知ることから始めましょう。
また、子供のさまざまな性格の気質別に有効な対応方法も調べたので、イヤイヤ期に悩む方はぜひ参考にしてください。
1 イヤイヤ期とは?
出典:PIXTA
よく“魔の2歳児”とも言われますが、個人差はあるもののだいたい2歳前後から始まり、3歳頃までには終わることが多いようです。
イヤイヤ期は子供の成長の証と言われていますが、実際にどのような意味を持っているのか次で見ていきましょう。
1-1 イヤイヤ期の2つの意味
イヤイヤ期は第一次反抗期と呼ばれ、「自我の芽生え」と「自己中心性からの脱却」という成長に必要な2つの意味があります。
1-1-1 自我の芽生え
出典:PIXTA
今まで親にしてもらうだけの受け身だった子供が、自分の意思を持ち、やりたいようにしたいと自己主張するようになります。
これがしたい、したくないといったその場の欲求に従って行動するため、自分の思い通りにいかないことに対して嫌と言うようになります。
1-1-2 自己中心性からの脱却
自分中心だった行動から、周りを意識し、他人と関わる上で必要不可欠な我慢や思いやりなどを身につけることを自己中心性からの脱却と言います。
例えばまだまだ遊具で遊んでいたいと思っても、順番を待っている子がいれば我慢して譲るなど、欲求を抑えて理性を働かせることが出来るようになるための訓練期間がイヤイヤ期になります。
1-2 イヤイヤ期の重要性
出典:PIXTA
イヤという気持ちをママにぶつけることで、どこまで欲求が受け入れられるのか、イヤと言った時のママの反応、言葉、気持ちの返しを何度も体験することで、我慢が必要な場面や他人への思いやりなどを学ぶことが出来ます。
つまりその場に合った行動ができる子供に成長するために、また自分の意見や気持ちを表現できる子供に成長するために、イヤイヤ期は重要な役割を持っているのです。
2 子供の気質(タイプ)に合った対応をするために気質を知ろう
子供の成長の過程において重要な意味を持つイヤイヤ期ですが、毎日イヤと癇癪を起こされればママだってストレスを感じます。
でもどんな対策が自分の子供に合っているのか判断するのは難しいですよね?
実は対応方法は子供の気質によって異なります。
ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーが唱えた人の気質は4つです。このルドルフ・シュタイナーの教育論を取り入れている幼稚園や学校教育もあるくらいです。
まずは4つの気質の特徴を知り、自分の子供がどの気質に当てはまるか考えてください。
幼児はまだ性格の形成が途中のため、気質が1つに絞られず複数の気質を含んでいることが多いです。その場合は、どの気質が一番強く出ているかで判断してください。
2-1 社交的で飽きっぽいタイプ(多血質)
出典:PIXTA
人見知りせず、はじめての人とも仲良くなれるタイプです。
喜怒哀楽がはっきりしており、明るい性格をしています。
理解が早く考える力もありますが、考える前に身体が動きやすいです。
また飽きっぽく、長時間1つのことに取り組むことが苦手です。
絵本は全部読む前に飽きる、おもちゃは次々と違うものに移ってしまうなどが挙げられます。
2-2 意志が強く怒りっぽいタイプ(胆汁質)
出典:PIXTA
自分の意志がはっきりしていて、人の意見を受け入れにくいタイプです。
思うようにいかないことがあると、すぐに怒りを表しやすいです。
正義感が強く、間違っていると思う行動をする人には批判的で、幅広い人間関係を築くのには苦労しやすいです。
決断力や判断力があるので、リーダー的な存在になりやすいです。
2-3 穏やかでのんびりしているタイプ(粘液質)
出典:PIXTA
行動がゆっくりしていてマイペースで、眠ることや食べることが大好きです。
感情を表に表すことが少なく、穏やかな人柄です。
こうと決めたら意思を曲げず、障害があってもくじけず頑張ることが出来ます。
1つのことに集中して取り組む持続力を持っています。
2-4 繊細で一人が好きなタイプ(憂鬱質)
出典:PIXTA
人見知りしやすく、人と積極的に関わるのが苦手です。
何事もしっかりと真剣に考え、考えすぎてネガティブな思考に陥りやすいタイプです。そのため、人の言動にも傷つきやすいです。
自分の悪い部分、弱い部分をよく理解しているので、自分よりも弱い立場の人に対して、力になろうとする思いやりを持っています。
3 気質(タイプ)別イヤイヤ期の対応法
どんなに心の広いママでも、時間に余裕がなくなるとどうしてもイライラしてしまいます。
まずは対応の基本として、イヤイヤ期の子供はいつも以上に行動するのに時間がかかるということを前提とし、出来るだけ時間に余裕を持って行動するように心がけましょう。
出典:PIXTA
そして子供のイヤという気持ちを受け止めながら、子供が気持ちを切り替え、次の行動に移れるように対応しましょう。
性格のタイプ別にいくつかの方法をまとめました。
3-1 社交的で飽きっぽいタイプ(多血質)の対応方法
社交的で他人と関わることが好きなタイプは、ママの前では特にひどいイヤイヤを発揮する場合があります。
他人の目がある時はある程度自分の気持ちをコントロール出来るということなので、日中は児童館や公園などで過ごすと、子供もママもお互いにストレスが少なく過ごせます。
それでも1日のほとんどの時間は子供とママだけの時間という人が多いと思います。
イヤイヤが始まって困ったときには、以下の方法を試してみましょう。
3-1-1 人形やぬいぐるみを使う
出典:PIXTA
人と関わることが好きな社交的な性格を活かして、人形やぬいぐるみを使って腹話術で話をしてみましょう。
大好きなキャラクターや普段から遊んでいる人形の言葉であること、ママと1対1の関係でなくなることから、イヤと言わずに聞いてくれやすくなります。
3-1-2 物を擬人化してみる
靴を履きたがらないときは、靴を動かしながら「一緒に遊びに行きたいよ」と声をかけてみましょう。
他にも食事を嫌がるなら「食べて」と野菜やお肉を動かす、歯ブラシと会話してみるなど、さまざまな場面で試してみてください。
誰かと関わることが好きな性格を活かして、物を擬人化してコミュニケーションを図ることで、遊び感覚で行動してくれるでしょう。
3-1-3 意識を他のことに向けてみる
飽きっぽい性格を利用して、違うことに意識が向くように誘導してみてください。
帰るのを嫌がる時は、「あっちに○○(子供の名前)の好きなものがあるかも。一緒に探してみよう」「かくれんぼしよう」など、遊びを切り替えて移動するとスムーズに移動できることがあります。
3-2 意志が強く怒りっぽいタイプの対応方法
思うようにならないと怒りを全面に出せるほどのパワーを持っていますが、ママとしては手をつけられないほど全身で感情をぶつけられると対応に困る場面も出てきますよね。
しかし逆にそれほどのパワーを秘めた子は、その力を勉強やスポーツなどに発揮することも出来る、すごい能力の持ち主だとも言えます。
その力を認めて、能力を伸ばせる対応をしていきましょう。
3-2-1 放っておく
危険のない部屋や、外出先なら目の届く範囲で気持ちが収まるまで、エネルギーを使い果たすまで放っておきましょう。
何を言っても耳を貸さない状態ではママも子供もお互いにイライラをぶつけ合う悪循環に陥ってしまいます。
冷静に落ち着く時間を取ること、有り余ったエネルギーを発散させることで、その後は素直に話を聞いてくれることもあります。
放っておいた後は、子供を抱きしめて「落ち着くまで待っていたよ」「○○が嫌だったね」など子供の気持ちに寄り添って、しっかりとフォローすることが大切です。
3-2-2 選択肢を作る
意志が強いので、自分がやりたいと思ったことは最後までやらないと気が済みません。
しかし、出来ることと出来ないことの判断が未熟なため、ママの手伝いが必要な場合もあります。
そんな時は選択肢を作って、どうするのか子供に選ばせてみましょう。
着替えを自分でしたいという時には、「○○ちゃんは上着を着る?ズボンを履く?靴下を履く?」など、子供が自分でやったと達成感を得られるようにどこか1つは自分でやらせてみましょう。
3-2-2-1 選択肢を嫌がる時は、気をそらす
全部自分でやらないと気が済まないという時には、歌を歌ったり、合いの手を入れてみたり、ちょっと注意をそらしながら少しだけ手伝いをするのがおすすめです。
勝手に手を出すと、余計にイヤイヤがひどくなる可能性があります。
ほんの少し注意をそらしながら、というのがポイントです。
3-3 穏やかでのんびりしているタイプの対応方法
のんびりマイペースな性格で、子供のしたいようにやらせてあげられれば感情を爆発させにくいです。
しかしその反面、一度決めたら譲らない頑固さを兼ね備えているので、気持ちの切り替えが難しく、イヤイヤ期ではどう対応したものか悩むママも多いかもしれません。
3-3-1 子供のタイミングに合わせる
自分で決めたことは守る真面目さを持っているので、どうするのか子供自身で決めさせましょう。
公園でまだ遊びたい、お風呂に入りたくない、着替えたくない、そんな時は、どの遊具で遊んだら帰るかあと何回遊んだら帰るか、何をし終わったらお風呂や着替えをするかなど子供が分かる終わりのタイミングを決めてください。
ママのタイミングでさせようとせずに、子供のタイミングにママが合わせるとすんなり従ってくれる場合があります。
3-3-2 予定を伝えておく
自分のペースで物事を進めるのが好きなので、次は何をするのか、その次は何をするか、先の予定をわかるように伝えておくと子供なりに予測が立てやすくなります。
そうすると次の行動に移る時、嫌がらずに行動してくれる場合があります。
3-3-3 約束する
出典:PIXTA
このおもちゃが欲しい、お菓子が欲しいといった要求に対して、ダメという否定ではなく、「これは誕生日に買おうね」「お家のお菓子がなくなったら買いに来よう」など次に繋がる約束をしましょう。
そうすれば子供は自分の要求が通ったと満足感を得られるので、その場を乗り切ることが出来ます。
3-4 繊細で1人が好きなタイプの対応方法
繊細なタイプだからこそ、怒りすぎるとママに委縮してしまうことがあります。
イライラを溜めて子供を怖がらせないためにも、子供の心に寄り添った対応が不可欠になります。
3-4-1 子供の気持ちに共感する
どうして嫌なのか、子供の気持ちを言葉にして共感することで、ママが気持ちをわかってくれているという安心感を持つことが出来ます。気持ちが落ち着くと、素直にママの言葉を聞く気持ちになれるでしょう。
また気持ちを言語化することで、怒りという感情以外で気持ちを伝えるすべがあるということを理解するきっかけにもなります。
3-4-2 出来たことをたくさん褒める
イヤイヤ期はどうしても怒ったり、イライラしたりする時間が増えてしまいがちです。
怒られる時間が多ければ、ママは自分のことが好きなのかな?と不安になることがあります。
些細なことでも、「上手に絵が描けたね」「手を洗えたね」とたくさん褒めてあげると子供は安心して心穏やかに過ごすことが出来ます。
心が安定するとイヤイヤも落ち着いてきますので、ぜひ褒め上手なママになってみてください。
3-4-3 子供を笑わせる
出典:PIXTA
子供の癇癪にママもイライラして、お互いがストレスを与え合ってしまうこともありますよね。
そんな時はどうやったら子供が笑ってくれるのかを考えて行動してみましょう。
変顔をしてみたり、子供をくすぐってみたり、わざと変な音を出してみたり・・・。ママの気持ちが前向きになると、子供にも伝わります。
意外とすぐに機嫌が良くなることもあるかもしれません。
4 イヤイヤ期に親がやってはいけない行動5選
子供のイヤイヤ期は、親もイライラしがちで、ついつい感情的になってしまう人も多いでしょう。
子供のイヤイヤ期にやってはいけないことを知っておけば、どうしていいかわからなくなった時でも、最悪の行動は控えることができるでしょう。
4-1 頭ごなしに叱る
出典:PIXTA
イヤイヤ期は子供の成長の証でもあるので、それを最初から頭ごなしに叱るのはいけません。
大声で荒々しく叱られても、子供は不安と恐怖だけが募るだけなのです。
また、行動が否定されると子供は自己主張してはいけないと思ってしまいます。
「いい加減にしなさい」ということも言いがちですが、これは子供にとっては意味のわからない曖昧な言葉なのです。
いい加減にしなさいでは、どうしていいかわからず、余計にイヤイヤがエスカレートすることもあるでしょう。
4-2 「勝手にしなさい」と突き放す
幼い子供の小さな世界では、親は唯一無二の絶対的な存在です。そんな親に突き放されて、子供はただただ悲しい気持ちになってしまいます。
負の感情がわいてきて、結局またイヤイヤと泣いてしまうことになるでしょう。
4-3 子供を拒絶する
出典:PIXTA
あまりにイヤイヤが続くと、親も疲れてきて相手にしなくなることもあるでしょう。
ですが、子供の全ての行動を根気よく受け止めてあげてください。
子供のとる行動を尊重し、コミュニケーションをとってあげるようにしましょう。
4-4 恐怖の交換条件を提示する
多くの人にありがちなのが、「言うことを聞けないなら、おやつなしだからね!」などの交換条件を提示してしまうことです。
こういえば言うことを聞いてくれるだろうと思い、ついつい言いがちですが、こどもは文字通り受け取ってしまい、納得しないまま言うことを聞がざるを得なくなります。
そうすると子供は常に不満を抱えた状態になって、十分な自己主張ができなくなり、将来的に積極的な行動が苦手になったりする可能性も出てきます。
また、交換条件が嫌で泣いて、さらにイヤイヤがエスカレートする悪循環にも陥ります。
4-5 子供の言いなりになる
イヤイヤ期の子供を根気よく受け止めることは、なんでも言うことを聞くということではありません。なんでも思い通りになると勘違いさせてはいけないのです。
常識的なルールを守る、危険なことを回避する、他人へ危害を与えないなど、絶対にやってはいけないことはきちんと教えなければならないので、そこは親もブレずに丁寧に対応しましょう。
ただし、感情的に怒るのではなく、子供にわかりやすくきちんと説明することは忘れないでください。
5 まとめ
イヤイヤ期はいつ終わるか分からず不安にもなりますが、ママのストレスが溜まらないように付き合っていくことがとても大切です。
それに加えて、子供の成長に欠かせない時期だからこそ、子供にとって満足のいく対応をしてあげたいですよね。
ママに無理のない範囲でさまざまな方法を試して、どれが子供に合っている方法なのかを見つけてください。
子供に合った対応を見つけて、ママと子供どちらにとってもストレスの少ないイヤイヤ期となりますように。